『読書は「アウトプット」が99%』をタイトル買いするその前に

この記事は、

本を読んでる割にイマイチ身についてないなー、とか、イマイチ成長してる感じがしないなー、とか、もっと良い読書の仕方ないかなー、

なんて思っている内にこの本にたどり着き、タイトルを見て、その辺りを解決もしくはその糸口は掴めるかもしれないと期待を抱いている方への情報です。

先に個人的な感想を言うと、

タイトルに惹かれた人はやめた方が良い。

アウトプットの方法論、その辺に期待をしている方は、それに特化した本があるだろうからもう少しだけ情報収集した方がよろしいかと。

書いてある内容自体に文句を言っているわけではなくて、目的が「アウトプットの方法」なら他を探そう、と言うこと。

じゃあ何が書いてあるか、何を学べるか、その辺について書いていきます。

 

どんな内容か

題名:読書は「アウトプット」が99%

著者:藤井孝一

出版社:三笠書房

 

著者は藤井孝一さん。あの「週末起業」で一世を風靡したお方。本著を読んでいると端々から読書愛が伝わってくる。無類の読書好きの人にとっては共感できることも多々ありそうな感じです。

そんな藤井さんがこの本で言いたいことは、冒頭でおっしゃっている。

本は読む(インプット)だけでなく「アウトプット」することで、もっと血となり肉となる

読書した結果を活かせないなら全然意味がないよと。これは完全に賛同。アウトプットと聞いて、直感的に「話す」「書く」「やってみる」というのは予想できると思う。では、どうやってアウトプットしていくのが良いのでしょうか?と「はじめに」で疑問を投げかけ、この後に書かれていると思うとワクワクしてくるわけです。

この「はじめに」を読んで購入を決めた方の中には、読み終わった後に「期待していたものとは違った」と感じた方も僕以外にもいるはず。タイトルの割に、その辺にはあまり触れていない。

章だけ紹介してみると、

  1. もっと「本の話」を誰かとしよう
  2. 「速読」よりも「乱読」せよ!
  3. 読書を最高の「自己投資」にする技術
  4. 「お金を稼ぐ人」は、本をこう読む!
  5. 私は、こんな本を読んできた

こんな感じ。改めて見ると、この目次だけでもアウトプットだけではなくてインプットにも力を入れているのがわかる。

本の探し方、読書時間の作り方、どういう姿勢で本を読むべきか、本を読んだらどういう力が身につくか、そして著者のオススメする本の紹介と、そういう読書前のインプット準備に割かれたページも多い。

とは言っても、為にならなかったかと言われるとそうではない。

 

何を学べるか

上記の通り、どうやってアウトプットしていけば良いか、その方法論を求めている人にとっては(少なくともアウトプット弱者な僕にとっては)刺さらない内容だったけど、かと言って内容がダメだったかと言われるとそういうわけではない。

いくつか参考になった箇所を挙げたいと思う。

要約力をつけてパターンを知り、全体を俯瞰する

本を読んでいると世の中のパターンがわかってくる。

「世の中」という大きい視点ではなくても、話の内容がごちゃごちゃして分かりづらい人との会話だったり、いまいちピンときていないことに対して、要約力を使って整理をし、シンプルにして、スッキリさせることができる。シンプルになると、一歩下がって、そして上から俯瞰する形で問題を見つめることができる。

その要約力を身につけるために、メモを取りつつ本を読み、読了後には自分なりにまとめてみよう、とのこと。

書評の書き方

読書感想文というのは読書のアウトプットとして真っ先に思いつくと思うけど、どういう書き方が良いのかに触れている。

単なる感想だけでは誰にでも書けるけど、そこから何を学んで何に活かせられるか、それを入れられたら書評としての付加価値がつくことになる。

自分なりにまとめてみるだけで、前述の「要約力」に繋がってくる。そのために、本書でも紹介されている藤井さんの「読書メモ」を使って自分の意見をぶっこんでいくのが良いんだろう。

そして日本最大級のメルマガ会員数を有する著者のメルマガの書き方も紹介してくれている。人に伝わりやすい構成や書き方を意識しようと、勉強になる。

情報に対する瞬発力を磨く

これは確かに。本とは少し離れて、新聞とかネットニュースの向き合い方について書かれたページだったけど。藤井さんがどう新聞を捉えているかを引用すると、

自分なりに内容を吟味して、それに対して自分ならどう考えるのかという思考の訓練の場

とのこと。

常日頃から意識をしていないとできない。「準備が大事」だと各方面で言われているけど、自分になりに考えて、自分なりの意見をしっかりと持っていることがかなり重要だよね。たとえ話し相手と意見の方向性が違っていたとしても、バシッと言えるだけで印象が全く違うものになる。

 

「みんな、読書は本当に素晴らしいからもっと読もう!」と。

結局は、読書ラブな著者が言いたいのはきっとこれだ。だから「読書を最優先にして時間を確保し、周りを巻き込んで本の話をしよう。中古で買わずに新品で買ってね。」と、そんな考えがチラチラ見えてくるから、タイトルで勘違いをした僕なんかはあんまりグッとこなかった。

小説について触れていた部分では、”人格形成をするための教科書になる” と言っていた。読んで感動した内容をアウトプットできれば、そして人を感動させれれたら、人を動かすこともできるよね、って。確かにそれはそうだと思うけど、今更この本で言うことではない。

ただ単に「読んだ方が良い。表現力が上がるから」と言って終わっているのが残念でならない。

小馬鹿感

全体的に文体も内容もソフトに教えてくれる。そこだけ見たらビギナー向けの本なのかと思いきや、一方では著者と同じような読書好きに対して書かれている本なのかな、とも思う。本を読まない経営者を「柔軟性がない」と言ったり(統計的にはそうなのかもしれないけど)、電車の中で本を開いていない人に対してケチをつけたり。

電車内での過ごし方については、僕も半分は賛同、通勤時間なんかは有用な時間にさせたいという思いがある。けど、スマホを見ているからと言って、実りのないゲームかSNSをやっているだなんて安直に考えるのはちょっとモヤっとする。

スマホで新聞や本を読んでいるかもしれないし、英語の勉強をしているかもしれないし、ゲームをやっていたとしても、そのゲームをやることが仕事なのかもしれないし、SNSをやっていたとしても、その人がインフルエンサーなのかもしれないし。

というか、ただの遊びだったとしても、著者が「読書はスイッチを切るための最適なツールです。」と言っていたのと同じ感覚で、その人にとってそれがストレス解消になって隙間時間を有効に使えているのであれば全く問題ないと思う。

そういう、読書しない組みを小馬鹿にしている感がチラついている(そんな意識とは思うけど個人的にはそう思った)のが本書の欠点だと僕は思う。

そして、とっても、とっても僕の器の小ささを露呈してしまう話なのだけど、一番気になったのはこの記述。

満員電車でも、ただ吊革につかまっているだけだと人に押され、イライラしてストレスがたまります。そんなときは、あえて本を開くようにしています。

なるほどね。

僕はそういう人を見てイライラしてストレスがたまります。

なんで公共の場でそんな自己中なことが行動を取れるかね、って。その前に出してる手を引っ込めたらもう少しスペースに余裕ができるんだけど。って。

本の紹介については

ビジネス書の専門家から見たオススメの本ということで、紹介をしてくれている。本書の中でも何度か出てくるように、ロングセラーはやっぱり時代を超えて良書である、というのはよくわかった。嫌な言い方をすれば、あんまり意外性のないセレクトであるということ。

でも、ここまでとんでもない数の本を読んできた藤井さんが言うからこそ、やっぱりあれは良い本だったんだな、って自分を裏付ける意味ではすごい権威づけになる。という考えもできる。

 

ということで

優しめの文章でサクッと読めてしまう。全般的な読書術、探し方から買い方、読み方、そしてアウトプットの仕方まで広くざっくりと把握する目的であれば良いと思います。

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